3大ロングセラーチェアの魅力 WHITE WOOD(ホワイトウッド)チェア
CIVIL(シビル)チェア・CRESCENT(クレセント)アームチェア

先月訪れた「2016飛騨の家具フェスティバル」や各メーカー巡りで再認識したロングセラー家具の底力。各メーカーがそれぞれの持ち味を生かし、完成度の高い家具を追求する中から生まれた本物の家具は、新作の中にあっても決して色褪せることなく、今見ても新鮮な感動を与えてくれます。
そこで、今回は、住賓館にも展示している飛騨を代表する3大メーカーのロングセラーチェアの魅力をご紹介します。
日進木工のWHITE WOOD(ホワイトウッド)チェア、柏木工のCIVIL(シビル)チェア、そして飛騨産業のCRESCENT(クレセント)アームチェア。
そのどれもが今も変わらぬ輝きで人々を魅了し続けています。
(2007年〜)日進木工:WHITE WOOD(ホワイトウッド)チェアWOC-131
ナラとウォールナットのコンビ、超軽量、チョイ肘のセミアームチェア
日進木工のWHITE WOOD(ホワイトウッド)シリーズは、1992年に発表された無垢のウォールナット材をナラ材でサンドしたテーブルから始まりました。当時、2種類の樹種を組み合わせた斬新なスタイルは大きな注目を集めました。
そのスタイルを受けて2007年に発表されたのが、木の実をモチーフにして肘掛けの先端にブラックウォールナットをあしらったセミアームチェアWOC-131です。
その個性的なデザインもさることながら、3400gという圧倒的な軽さ、簡単に取り外せるカバーリング機能などにより一躍人気チェアの仲間入り。
以来、今も不動の人気を保ち続けています。
立ったり座ったりの邪魔をせず、腕が自然と乗るセミアーム(チョイ肘)は、WOC-131の大きな特長の一つ。
超軽量の上、この肘掛け部分をテーブルの天板に引っ掛けることができ、脚を浮かした状態で床掃除もできます。
WOC-131は、毎日の暮らしに役立つ要素が随所にちりばめられています。
3400gの超軽量設計で、片手でも持ち上げることができます。
優れた加工技術で耐久性と軽量化を両立できるのが、日進木工の強みです。
背は細く繊細ですが、切れ目のない美しい曲線ラインとしなりへの強度を保つ曲げ木技術により、背中を柔らかく包み込み、安心して体をあずけることができます。
木の実を想わせるブラックウォールナット材の肘。ナラ材の背とウォールナット材の肘は高い技術を要するフィンガージョイントで接合されています。
飛騨の匠の伝統の技がモダンなデザインを完成させています。


シートカバーは、簡単に取り外しができるカバーリング仕様。
汚れたり、季節や模様替えのときにも便利です。
WOC-131は、座面高430mm、アーム高685mmで座面とアームの間は255mm。これは肘を乗せるにはベストな高さ。
他社にはない絶妙なバランス加減で、自分の肘の高さよりもちょっとだけ高く、肘を自然に乗せることができます。
このため深く座っても浅く座っても楽なポジションが取れ、長時間座っていても疲れません。
(2001年〜)柏木工:CIVIL(シビル)チェアCC71K
ウォールナットとオークのコンビ、シンプルデザイン、ウィンザースタイルのモダンチェア
柏木工一番人気のCIVIL(シビル)チェアは、2001年に発売されたロングセラーでありながら2014年度グッドデザイン賞を受賞した実力の持ち主。
発売から14年経っても衰えぬ魅力を持ち続けていることを証明しています。
CIVIL(シビル)チェアを開発するにあたって柏木工では、流行に左右されないシンプルデザイン、永く愛着を持って使い続けられる丈夫な作りを追求。
ウィンザーチェアの輸出で培った技術やセンスを生かし、モダン空間にも合う座り心地の椅子を完成させました。

ウォールナット材とオーク材のコンビネーションで人気のCIVIL(シビル)チェアCC71K。
それぞれの素材の持つ色調が絶妙なバランスで組み合わされて、軽快でセンスのいいリズムを生み出しています。
北欧スタイルにもモダンスタイルの空間にも合います。

背から脚にかけて両サイドのスポーク(丸棒)が一本木で構成された美しいライン。
スポークは細いところで直径約20mm、太いところで約40mmで、スマートでスタイリッシュなデザイン性と強度を両立させています。

CIVIL(シビル)チェアCC71Kは、高さ920mmのハイバックチェアですが、細身で軽快なデザインなので圧迫感がありません。
ダイニングテーブルに合わせてもスッキリと収まり、パーソナルチェアの1脚使いでも完成された空間を作り出します。

背には、細いところで直径約10mm、太いところで約20mmのスポークを8本配し、適度なしなりと弾力性で優しく体を受けとめる構造になっています。

背の上部には、体が当たる部分にわずかな削りこみが施されています。
座った時に背の当たりをやわらげて快適な座り心地を実現。さらに手でつかみやすいので椅子の出し入れが楽にできます。

座面は、ウィンザーチェアの技術を活かして座ぐり加工が施されています。
1枚の無垢材を削り込んだ座面が程よくお尻にフィットして、板座でありながら驚くほど快適な座り心地です。

背を支えるスポークと座面の程よい座ぐりにより、体を包み込むような安定した座り心地を実現しています。
長時間座っていても疲れることなく、肘無しのスマートなデザインなので斜め掛けや横掛けなどのポジション移動もラク。
椅子を動かさなくても好きなポジションで快適に座り続けられます。
(1995年〜)飛騨産業:CRESCENT(クレセント)アームチェアSG261A
三日月をイメージしたエレガントなフォルムの名作アームチェア
外向きにエレガントなカーブを描く脚の形から「三日月」を意味するCRESCENT(クレセント)と名付けられたアームチェアSG261Aは、1995年に発売された飛騨産業を代表する一脚。
住賓館でもオープン以来20年、ずっと展示からはずしたことのないシリーズです。
曲げ木をはじめ、飛騨産業の高い加工技術で作り上げられた丸みのあるフォルムと滑らかな手触り。
板座でありながら驚くほど優しく快適な座り心地など、20年以上経っても最初に出会った感動をいつでも味わえます。
間違いなく名作と呼べる一脚です。

CRESCENT(クレセント)アームチェアSG261Aの魅力は、正面から見たときのエレガントな脚の曲線ライン。脚にまで曲げ木加工を施す椅子は他ではあまり見られません。
外向きにカーブを描く曲げ木の脚は、見た目の美しさだけでなく安定感があるためグラつきがありません。

背には他社には真似できない削りこみが施され、上部は細く、中央に向けて太くなり、さらに曲げ木加工でR曲面をつけた複雑な造りになっています。
このため背板の面積は小さくても背にピッタリとフィットし、滑らかな木肌が優しく受け止めてくれます。

曲げ木の背板にフィンガージョイントで接合したアームは、先端が下向きに少し傾斜した丸みのあるフォルムでつかみやすく、手のひらで包み込むと心地良い安心感があります。
握力のない人でも持ちやすいので、立ち上がり動作もラクにできます。

程よい座ぐり加工を施した座面は、座った時にお尻に心地よくフィットし、安定感があるので長く快適に座り続けられます。

住賓館で20年以上接客用に使っている椅子と新品とを並べてみました。
新品と比べるとアメ色のツヤが出て、深く味わいのある椅子に育っています。
普段の手入れは水拭きだけ。小さなキズはあるもののグラつきや座面のヌケなどの故障はなく、一度も修理に出していません。
長く使っていただける椅子として、自信をもっておすすめできます。


曲げ木による背のカーブ、背板の厚みの絶妙なバランスと角度、座面の程よい座ぐり具合により、どこにも違和感を感じずに安定したポジションを取ることができます。
深く座ると背と座が体全体を優しく受け止め、浅く座って背にもたれない場合でも座面の座ぐりによりお尻が安定するので長時間でも快適に過ごせます。
【Select Point】
ロングセラーを続けている家具は、奇をてらったデザインや作りで惹きつけるのではなく、飽きのこないシンプルなデザイン、長く使い続けられる耐久性や強度、毎日使える機能性や軽量化、快適な座り心地などを追求して生まれています。
こうして各メーカーが自社の持ち味や技術力を生かし、開発や試験を重ね、時間をかけて作り出したスタンダードモデルは、あらゆる面で成熟した家具として高い評価を受け、10年、20年と愛着を持って長く使い続けられます。
また、成熟した家具は、引っ越しやリフォームなど、生活環境や空間が変わっても馴染むことができ、いつまでも変わらぬ存在として使い続けられます。
今回ご紹介した3つのロングセラーチェアは、誰もが認める成熟した家具です。
【コーディネートに使用したアイテム】
メーカー 日進木工
商品名  WHITE WOOD(ホワイトウッド)チェアWOC-131
サイズ  W575×D500×H730・SH430・AH685(mm)3.45kg
販売価格 47,000円(税別)

メーカー 柏木工
商品名  CIVIL(シビル)チェアCC71K
サイズ  W515×D535×H920・SH430(mm)
販売価格 48,000円(税別)

メーカー 飛騨産業
商品名  CRESCENT(クレセント)アームチェアSG261A
サイズ  W620×D505×H710・SH395・AH645(mm)
販売価格 60,000円(税別)※ナラ材


※上記の価格は時期によって変動しますので、必ずご確認ください。
◆Recommend
誰もが認めるロングセラーチェアと言えども、体型や年齢、ライフスタイルや住環境、座り方のクセなどによって自分にピッタリの一脚は違ってきます。
自分の一脚を選ぶためには、必ず試し座りをすることが大切です。
住賓館では、お客様が気になるイスには必ず座って確認してもらうとともに、座り比べもご提案しています。
また、住環境との相性を確認したい方には、貸出のご相談にも応じています。
さらに今回ご紹介したメーカーはすべて住賓館と直接お付き合いがあるため、お手持ちの家具の修理やメンテンナンスの取り次ぎにも応じています。
どうぞお気軽にお問い合わせください。もちろん、ご紹介したメーカー以外でもご相談に応じます。
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